③ ― 2011年11月30日 16:18
へろへろになって谷を上がって行くと30m先で大きな猪を中心に犬が6頭、団子状態になっていた。A嬢は団子状態の上10mでどうしようもなかったのであろう、ずっと撃つ機会をうかがっていたと思う。撃ち合いになってはいけないので私が到着した旨を手で合図する。後ろ足に噛み付いている犬、耳に噛み付いている犬、どの犬も血で真っ赤である。傍らに2頭元気の無い犬がいる。猪の下顎の牙はナイフのようになっており10cm位有るように見えた。一瞬、あかん、このままでは犬が全部ボロボロにされてしまうと判断した。このような状態で気をつけなければならないのは①必ず猪の上から回り込む事(下から行くと下りは早いので体当たりされて大怪我をする)、②犬を撃たない事(猪に当たっても弾が貫通し背後の犬をやってしまう)、③他の人がいる時お互いに撃ち合いにならない様にする事、④極力犬の傍で銃を撃たない事(衝撃波で犬の耳がやられてしまう),⑤一発で仕留めなくてはならない、この様な事です。しかし、事は瞬時の判断を要する。①のやってはならない事をあえて強行した。お前が死ぬかわしがやられるか勝負じゃと思い20m位に近づくと私に気がついたのであろう、ぱっとこっちを見た。さあ、来るぞと思うが早いか噛み付いている犬を振りほどき一気に谷を下って来た。もう撃とうと思えば撃てたのだが弾が抜けた時、後ろの犬をやってしまう。射撃角度が悪い。角度が良くなるのは私とぶつかる瞬間しかない。5m、3m、2m、まだまだ、凄い形相で牙をむきやって来た。1m、銃の筒先が猪の頭にひっつく位まで辛抱する。今しか無い。頭にひっつける様にして(実際ひっつけると発射と同時に銃身が割れる)撃った。同時に右膝に猪の鼻が当たる。その瞬間右脚を上げるとその下を猪が通った。2m先で猪が倒れる。すかさず傍に寄って耳の後ろに止め矢を入れる。長い様だがその間10秒位。直ぐに犬を確認したところ、1頭は耳を2つにされ、1頭はお尻を突かれている。もう1頭は前足の付け根を裂かれ骨が見えている。更に1頭は両足を裂かれ、1頭は腹を突かれて(肺に穴が開き横隔膜が破れていた)元気が無い。ふと気付くと1頭この場に居ない。猪を車の所まで下ろした後、A嬢と2人で探すと30m位横で既に死んでいた。結局、7頭のうち無傷が1頭、軽傷2、重症3、死亡1と云う結果になってしまった。死んだ犬を両手で抱いて降りて猪と一緒に寝かせてやった。*お前が捕った猪やぞ。ごめんな、もっと早く僕が行ってたらこんな事にならなくて済んだかも知れんのに。許せよ。*そう独り言を言うと父が*可哀相やけど猪犬やもん山で死ねたら本望や*と言った。抜きの27.3貫、捕るには捕ったが・・・・・。
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